そうですよね
こういう話は、あまりしたくないが。
たぶん、あの人は笑って聞いてくれるだろう。
あの人と「はじめて会った」のは、小学校三年生のときだった。
その日、私は校庭のすみにあるプレハブの教室を出て、本校舎へつながる渡り廊下のところにやってきた。
そこへ、あの人がやってきた。
あの人と私は、クラスがちがっていたから、つまりは「同じタイミング」で、渡り廊下に出たことになる。
あの人と私は家が近かったので、それまでにおたがいの顔と名前くらいは知っていた。
しかし、とくに親しいわけではなかった。
渡り廊下で、少年(あの人)とガキ(私)はなんの話をしたのか。
たぶん、「どこへなにしにいく?」くらいのことだったはず。
しかし、別れたあと、私はあの人を、あの人は私を、「友人」として認めてしまった。
いまにして思う。
あの、どこか張りつめたような感じの「少年」と、
ノーテンキお気楽の「ガキ」は、どうして「友人」になってしまったのか。
もちろん、後悔はしていない。
多くのものを、もらった。
少ししか、返せなかった。
あすは八月十六日で、あの人の命日。
ちょうど六年になる。
これは前にもいったかもしれないが、またいう。
あの人が、いまどこでどうしているかは、知らない。
もう、どこにもいないのかもしれない。
そんなこと、知ったことではない。
あの人は私の「友人」。
そして私はあの人の「友人」。
これはもう、動かせない。
いつかまた、どこかで会える。
なんの根拠もないが、私はそう思っている。
つぎに会うときも、きちんと見つけますからね。
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